第6話「意思能力」
2024年11月15日
スガヤのコラム ~札幌不動産売却の疑問点~ 第6話「意思能力」
こんにちは、センチュリー21 TRAD 札幌店の菅谷(スガヤ)です。
今回は、「意思能力」について、会話形式でご紹介いたします。
相談者
「親族名義の不動産があり、その名義人が認知症の場合、不動産を売却するにはどうしたらよいでしょうか?」
専門家
「不動産の売却などの法律行為には、当事者本人の意思能力が必要です。意思能力がない場合、不動産売買を行うことはできません。」
相談者
「もし意思能力のない人が不動産を売却してしまった場合、その契約はどうなりますか?」
専門家
「意思能力のない方が行った契約は無効となります。」
相談者
「それでは、名義変更が完了するまで、その不動産を処分することはできないのでしょうか?」
専門家
「認知症であっても、医師の診断で意思能力があると判断された場合は売却が可能です。そうでない場合には、成年後見制度の利用を検討することになります。ただし、この制度の利用には注意が必要です。」
相談者
「成年後見制度の利用には、どのような注意点がありますか?」
専門家
「成年後見制度は、認知症などで意思能力を失った方に代わって家庭裁判所が選任した成年後見人が法律行為を行う制度です。申立から選任まで数か月かかる場合があるため、時間に余裕をもって準備する必要があります。」
相談者
「家族が成年後見人になるとは限らないのですか?」
専門家
「そうです。成年後見人として司法書士や弁護士など法律の専門家が選ばれることもあります。また、成年後見人は被成年後見人の資産を保護する役割も担っているため、売却の必要がないと判断された場合には売却されない可能性もあります。仮に売却の意思があっても、家庭裁判所の許可が出ないケースもあります。」
相談者
「何から始めればよいでしょうか?」
専門家
「まずは不動産会社に相談することをお勧めします。不動産取引では司法書士が意思確認を行うため、事前に本人と司法書士が面談し、売却が進められる場合もあります。また、成年後見制度の利用についての相談もできます。専門家と連携している不動産会社を選ぶと安心です。」
相談者
「相談は早めがいいですね。」
専門家
「はい、高齢化が進む中で、同じような問題を抱える方が増えています。将来に備え、裁判所の許可が不要な「任意後見制度」を活用することも重要です。」
相談者
「任意後見制度とは何ですか?」
専門家
「任意後見制度は、本人に十分な意思能力があるうちに、将来判断能力が低下した場合に備えて、あらかじめ本人自身が任意後見人を決めておく制度です。」
不動産に関するご相談がございましたら、ぜひ『センチュリー21 TRAD 札幌店』へ!
※イラストはAI(ChatGPT or Gemini)で生成しております。
(ご参考) 『アットホーム 不動産用語集』
意思能力とは:https://www.athome.co.jp/contents/words/term_992/
法律行為を行なったときに、自己の権利や義務がどのように変動するかを理解するだけの精神能力のこと。法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とするとされている(民法第3条の2)。また、その範囲について、行為の時に意思能力を有しなかった者は、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。行為の時に制限行為能力者であった者についても、同様とするとされている(民法第121条の2第3項)。
意思無能力者とは、具体的には小学校低学年以下に相当する精神能力しか持たない者と考えられる。
通常、法律行為が無効であれば、その無効は契約等の当事者の誰からでも主張することが可能とされており、意思無能力者の行なった法律行為も同様である。
ただし、意思無能力者の法律行為が無効とされるのは、意思無能力者を保護する趣旨であるので、意思無能力者が無効を主張しない場合(契約等の効力の存続を希望する場合)には、契約等の相手方から無効を主張することは許されない、とする有力な学説がある。
成年後見制度とは:https://www.athome.co.jp/contents/words/term_3815/
「精神上の障害(認知症・知的障害・精神障害など)によって判断能力が不十分になった場合に、自分の生活、療養看護、財産管理に関する事務を委託し、代理権を付与する旨をあらかじめ定めた契約。「任意後見契約に関する法律」に基づく制度である。
任意後見契約は委任契約であって、委任を受ける者(任意後見受任者)は、未成年者、委任者に対して訴訟をした者など一定の者であってはならない。契約は、公正証書によって締結しなければならず、契約が効力を生じるのは、家庭裁判所が任意後見監督人を選任したときである。
任意後見契約が発効すると(つまり、家庭裁判所が任意後見監督人を選任すると)、任意後見受任者は「任意後見人」として、契約に定められた行為を受任し、代理することになる。また、任意後見人は、その事務について任意後見監督人の監督を受ける。」