すがっち探検隊(続)第14話「春別」

2025年03月07日

こんにちは、 センチュリー21 TRAD 札幌店のすがっちです!

 

今回は、こんな物語をお届けいたします。

 

~春別~ 

猫の卒業式

春の訪れを告げるはずの三月なのに、今日は朝から雪がしんしんと降っていた。  
桜咲くはずの大学の中庭は、白く静かな世界に包まれている。  

 

「今年の春は、ちょっと意地悪だね」  

 

白い毛並みのメス猫、ミミは、そうつぶやきながら雪の上に小さな足跡を刻んだ。
隣には、黒と茶のブチ模様のオス猫、ハルが歩いている。  

二匹は、今日、大学を卒業する。  
そして、明日から別々の街へ旅立つのだ。  


ハルは東京の大きな企業に就職し、ミミは京都の小さな出版社で働くことになっていた。 

 

「本当に行っちゃうんだね、ハル」  

 

ミミはぽつりと言った。  

 

「うん。でも、ミミだって行くんだろ?」  

 

ハルは優しく笑い、ミミの耳をそっと舐めた。  

 

「でも、離れ離れになっちゃう」  

 

「大丈夫だよ。また会えるさ」  

 

本当にそうなのかな? ミミの胸に、不安がよぎる。  
その様子を、少し離れたところでじっと見つめる影があった。  
三毛猫のサクラ。  

 

サクラはミミの親友であり、そしてハルに密かに想いを寄せていた。  
でも、言えなかった。  
ミミとハルが互いに大切に想い合っていることを、ずっとそばで見ていたから。  
サクラは目を伏せ、そっと雪の上に爪を立てた。  

 

「……チャンスかもね」  

 

そう小さくつぶやくと、くるりと背を向けて歩き出した。  
ミミとハルに気づかれないように。

  

***  

 

卒業式が終わり、二匹は校門の前で最後の別れを迎えていた。

  

「ハル……元気でね」  

 

「ミミもな。無理するなよ」  

 

「……ハル」  

 

ミミは迷った。  
最後に言うべき言葉があるのか、ないのか。  
でも、ハルは優しく笑って、ミミの頭に鼻を寄せた。 

 

「また春になったら、ここで会おう」  

 

「え?」  

 

「一年後の春。もしお互いにまだ想い合っていたら、ここに来よう」  

 

「……うん!」  

 

ミミは強くうなずいた。  
降りしきる雪の中、二匹は最後に寄り添い、別々の道を歩き出した。  

 

***  

 

サクラは一人、桜の木の下で雪を見上げていた。

  

「……一年後か」  

 

小さく笑って、遠ざかるハルの背中を見送った。  

 

「私はどうしようかな」  

 

雪の向こう、春が待っている。  
そして、それぞれの未来も。  

(続)

 

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※今回のイラスト・ストーリーはChatGPTで生成しております。

※この物語の続きは、1年後に(忘れていなければ)...