第21話「概算取得費」
2025年06月20日
スガヤのコラム ~札幌不動産売却の疑問点~ 第21話「概算取得費」
こんにちは、センチュリー21 TRAD 札幌店の菅谷(スガヤ)です。
今回は、不動産売却時の税金についてのコラムです。
不動産を売却した際には、状況によって税金が発生することがあります。
たとえば、マイホームなど居住用の不動産を売却する場合には、一定の特例が適用されることもありますが、基本的には売却によって利益(譲渡所得)が出たと判断されると、「不動産譲渡所得税」が課税されます。
この「利益」は、単純に売却額そのものではなく、売却額から「取得費(その不動産を購入した際にかかった費用)」および「譲渡費用(仲介手数料や登記費用など、売却にかかった諸経費)」を差し引いて算出します。
売却金額については直近のことなので把握しやすいのですが、問題になるのは「取得費」です。
特に、長年住み続けたマイホームや、親族から相続した不動産などの場合、購入時期が数十年前に遡ることもあり、その際の売買契約書や領収書などの書類が手元に残っていないケースも少なくありません。
実際、不動産売却を希望される方の中には、引っ越しや相続の際に取得関連書類を紛失されている方も多く見受けられます。
そうなると、「取得費がわからないので計算できないのでは?」と不安に感じるかもしれませんが、実はそのようなケースに備えた「概算取得費」という制度があります。
概算取得費とは、売却金額の5%を取得費として見なすという計算方法です。
たとえば、2,000万円で不動産を売却した場合、取得費はその5%にあたる100万円となります。
ただし、この5%という数字は実際の取得費よりもかなり低く見積もられてしまうことが多いため、本来は利益が出ていないにもかかわらず、課税対象となってしまうケースもあり得ます。
とくにバブル期に購入した不動産などは、現在の相場よりも高額で取引されていたため、その差がより顕著です。
そのため、まずは手元に残っている古い書類をしっかり探し、少しでも関連がありそうな資料が見つかれば、不動産会社の担当者に相談することをおすすめします。
たとえ内容が専門的であっても、担当者や提携している司法書士に確認してもらうことで、有効な取得費の根拠として使える場合があります。
それでも取得費を特定できない場合には、登記簿謄本に記載されている「抵当権の設定金額」や「市街地価格指数」などを参考に、より現実的な金額を算出する方法もあります。
すべてのケースに適用できるわけではありませんが、税務署による個別判断に基づき、柔軟に対応できる可能性もあります。
最も重要なのは、経験豊富な税理士に相談することです。
不動産売却時の税務に精通した税理士であれば、多角的な視点から適切なアドバイスが得られるでしょう。
弊社からご紹介も可能です。
なお、計算には建物の減価償却費も関わってくるため、単純な「売却額-取得費」だけでなく、より複雑な計算が必要となる点にも注意が必要です。
不動産売却における税金は、事前の準備と専門家への相談が大きな安心につながります。
不動産についてのご相談がございましたら、ぜひ『センチュリー21 TRAD 札幌店』へ!
※今回のイラストはChatGPTで生成しております。
(ご参考)
国税庁 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1440.htm
国税庁 取得費が分からないとき
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3258.htm