すがっち探検隊(続)第40話「再夏」
2026年03月20日
こんにちは、 センチュリー21 TRAD 札幌店のすがっちです!
再会の夏、揺れる約束
東京駅は、人であふれていた。
大きな屋根の下、絶え間なく行き交う足音。
アナウンスの声、電車の風、熱気――すべてが混ざり合っている。
白い毛並みのミミは、小さく息を吸った。
「……来ちゃった」
京都からの出張。
仕事のはずなのに、胸の奥はずっと落ち着かなかった。
――ハルに会う。
それだけで、こんなにも心が騒ぐなんて。
改札を抜けた瞬間、ミミの目に飛び込んできたのは、
見慣れた――でも少し大人びた姿。
「……ハル」
黒と茶のブチ模様。
少し疲れた顔。でも、優しい目。
「ミミ……」
一瞬、時間が止まったようだった。
春、雪の中で別れてから、初めての再会。
近づきたいのに、少しだけ距離がある。
言いたいことがあるのに、言葉が出てこない。
先に口を開いたのは、ハルだった。
「久しぶり……元気だった?」
「うん。ハルは?」
「まあ、なんとか」
ぎこちない会話。
でも、それが逆にリアルで、二匹は少しだけ笑った。
「ちょっと歩く?」
「うん」
二匹は東京駅を出て、夕暮れの街へと歩き出した。
***
オレンジ色に染まるビルの隙間。
夏の風が、少しだけやわらいでいる。
「仕事、どう?」
「大変。でも、楽しいよ」
ミミは笑う。
その笑顔は、あの頃と変わらない。
でも、どこか強くなっていた。
「ミミ、すごいな」
「そんなことないよ」
ハルは、ふと足を止めた。
「……ごめん」
「え?」
「連絡、あんまりできなくて」
ミミは一瞬驚いた顔をしたあと、ゆっくり首を振った。
「ううん。私も同じだったし」
沈黙。
でも、それは気まずいものじゃなかった。
「ねえ、ハル」
ミミが立ち止まる。
「私たちってさ……あのときの約束、覚えてる?」
――春になったら、またここで会おう。
ハルは、ゆっくりとうなずいた。
「覚えてるよ」
「でも、まだ春じゃないね」
ミミは少しだけ寂しそうに笑った。
「……うん」
そのとき。
ハルのスマートフォンが、静かに震えた。
画面に映った名前。
――サクラ。
一瞬だけ、空気が変わる。
ミミも気づいた。
でも、何も言わない。
ハルは、迷った。
出るべきか。出ないべきか。
その数秒が、やけに長く感じる。
「……出ていいよ」
ミミが優しく言った。
「大事な人なんでしょ?」
ハルははっとした。
「……うん。でも」
言いかけて、やめる。
何を言えばいいのか、自分でも分からない。
サクラからだとは、隠したかった。
結局、ハルは通話を取らなかった。
スマートフォンをポケットにしまう。
「ごめん。今はミミといたい」
その一言に、ミミの目が少しだけ揺れた。
「……そっか」
夕焼けが、二匹を包む。
遠くで、都会のざわめきが続いている。
止まらない時間。
変わっていく環境。
それでも変わらない気持ち。
そして――
変わり始めている気持ち。
「ねえ、ハル」
ミミが小さく言った。
「今日だけじゃなくて……また、会える?」
それは、あの春の約束とは少し違う言葉だった。
未来を、もう一度つなぎ直そうとする言葉。
ハルは、まっすぐミミを見た。
答えは、もう決まっている。
――でも。
「今日、これから、どうしよっか?」
ミミが言いかけたその瞬間、ポケットの中のスマートフォンが、もう一度震えた。
今度は、メッセージ。
サクラから。
「ねえ、今日会える?」
夏の夜が、静かに降りてくる。
三匹の想いは、ついに交差しようとしていた。
――再会は、始まりにすぎない。
(続く)
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※今回のイラストはChatGPTで生成しております。
※このお話の続きは、また、2週間後に。
