すがっち探検隊(続)第41話「夏呑」

2026年04月03日

こんにちは、 センチュリー21 TRAD 札幌店のすがっちです!

 

2週間前のお話の続き。
第3話「再夏
第2話「揺夏
第1話「春別

 

※このストーリー全体のタイトルは未定で、現時点では「春夏秋冬猫物語(仮)」としておきます。

居酒屋

夜の灯り、三つの想い

 

東京の夜は、昼とはまるで違う顔を見せていた。

ビルの隙間に灯るやわらかな光。
静かな路地に佇む、少しだけ敷居の高そうな居酒屋。

 

「……ここ、いいの?」

 

ミミが少し遠慮がちに言う。

 

「たまにはね。社会人っぽく」

 

ハルが笑う。

そして――

 

「ふふ、二人とも変わらないね」

 

暖簾の向こうから現れたのは、サクラだった。

 

三匹は、静かに顔を見合わせる。

あの日、雪の中で別れた三匹。
そして今、東京の夜に再び揃う。

 

「……久しぶり、サクラ」


「うん、久しぶり、ミミ」

 

一瞬だけ、時間が止まる。

でも次の瞬間、自然と笑い合っていた。

 

***

 

店内は落ち着いた木の香りと、やさしい灯りに包まれていた。

学生の頃には入れなかったような、大人の空間。

でも――

 

「懐かしいね、こういう感じ」

 

ミミがぽつりと言う。

 

「わかる。あの安い居酒屋、よく行ったよな」

 

ハルが笑う。

 

「唐揚げばっかり頼んでさ」

 

サクラもくすっと笑った。

あの頃と同じ空気。

違うのは、少しだけ大人になったこと。

 

***

 

「仕事どう?」

 

サクラがグラスを傾けながら聞く。

 

「大変だよ。毎日怒られてる」

 

ハルが苦笑する。

 

「わかる……私も」

 

ミミも肩をすくめる。

 

「でもさ、たまに褒められると嬉しくて」

 

「それな!」

 

三匹は同時に笑った。

 

失敗の話、上司のクセ、ちょっとした成功体験。

話は尽きない。

時間が巻き戻ったみたいだった。

 

***

 

ふと、ミミが少しだけ真剣な顔になる。

 

「ねえ、サクラ」

 

「ん?」

 

「ちょっと相談してもいい?」

 

サクラはグラスを置いた。

 

「いいよ」

 

ミミは一度だけ、ハルの方を見る。

そして、静かに話し始めた。

 

「うちの親がね……東京の家、売ろうかって言ってるの」

 

「え?」

 

ハルが驚く。

 

「私と一緒に京都で暮らしたいって」

 

店内の空気が、少しだけ変わる。

 

「それで……」

 

ミミはサクラをまっすぐ見た。

 

「サクラのところ、不動産やってるでしょ?」

 

サクラの心臓が、小さく跳ねる。

 

「……うん」

 

「もしよかったら、相談に乗ってほしいの」

 

その言葉。

それは、ただのお願いじゃない。

信頼だった。

でも同時に――

サクラの胸に、静かに痛みが走る。

――ミミは、恋敵。

 

でも。

それ以上に、大切な親友。

幼い頃からずっと一緒で、家族ぐるみの関係で。

泣いた日も、笑った日も、全部知っている。

サクラは、ほんの一瞬だけ目を伏せた。

そして、顔を上げる。

 

「……いいよ」

 

優しく、でもしっかりとした声。

 

「任せて」

 

ミミの表情が、ぱっと明るくなる。

 

「本当に? ありがとう、サクラ」

 

その笑顔を見て、サクラは思う。

――やっぱり、この子のためなら。

胸の奥の気持ちは、簡単には消えない。

でも、それでもいい。

 

「ちゃんといい条件で売れるようにするから」

 

サクラは少しだけいたずらっぽく笑った。

 

「プロだからね」

 

「頼もしい!」とハルが笑う。

三匹の笑い声が、静かな店内にやさしく広がる。

 

***

 

外に出ると、夜風が心地よかった。

東京の街は、まだ明るい。

でも、それぞれの心の中には、言葉にできない想いがあった。

友情。恋。未来。

交差しながら、少しずつ形を変えていく。

サクラは、二匹の少し後ろを歩きながら、そっと空を見上げた。

 

「……がんばろ」

 

誰に向けた言葉でもない。

でも確かに、自分の中で何かが決まった瞬間だった。

――三匹の関係は、もう後戻りできない場所へ進んでいく。

 

夜は、まだ続く。

 

(続く)

 

不動産についてのご相談がございましたら、ぜひ『センチュリー21 TRAD 札幌店』へ! 

 

※今回のイラストはChatGPTで生成しております。

※このお話の続きは、また、1か月後に。